フェイスブック・アーカイブ

斎藤清のふだん着のライフスタイル、斎藤清のクリエイティビティ、斎藤清美術館の企画展ニュース、ニュー美術館への実験的こころみ、斎藤清の町やないづ、アート・リラクゼーションの町やないづなど、こうした多彩な情報を斎藤清作品を通して発信して行こうと、斎藤清美術館公式フェイスブックはスタートしました。
第1回目は、2014年9月17日(水曜日)でした。

「フェイスブック・アーカイブ」では、スタート時から現在までの投稿テキストの中から、アクセス数の多かったコンテンツを中心にピックアップしてアーカイブとしました。
まとめて読んでみると、当時のことが手に取るように思い出され、ここから新たな夢、新たな企画が立ち上がってくるようです。
(一部、加筆修正しました)

2014年11 月3日(月曜日)

会津も新そばの季節です。

東京からやって来た知人が言っていました、『会津のおそば屋さんは、どこに入っても、ハズレがないから安心です。どこで食べても美味しいし、羨ましいです』。

でも、地元では、おそば屋さんどうし、より美味しいおそばを求めて、しのぎを削っているんです。口コミひとつで、結構優劣が出てしまったり。最近まではよく行列ができていたのに、ここんところ空席が目立つようになったと言うおそば屋さんも無きにしもあらずです。

フォトは、斎藤清の代表作、『会津の冬』シリーズの84作目、1989年の作品です。ここのおそば屋さん、まだ健在とのことです。

会津の冬(84)西平 1989年 木版画 斎藤清美術館所蔵
Winter in Aizu(84) Nihsihira

2014年10 月13日(月曜日)

会津は、日本有数の酒どころです。『朝寝、朝酒、朝湯が大好き』という誰もがうらやむ、いやいや反感を買うかも知れない生活スタイルを歌にするぐらいですから、斎藤清の作品に銘酒が登場しても少しも不思議ではありません。

フォトは、斎藤清の代表作、ライフワークでもあった『会津の冬』シリーズの75作目、1988年の作品です。雪が降り積もることで、すべてが覆い隠され、そこから創り出される簡素化された自然のフォルムがとても特徴的です。

のれんに描かれている『彌右衛門酒』は、会津喜多方の大和川酒造店さんの銘酒のひとつ。大和川酒造さんは、江戸時代中期の寛政二年(1790年)の創業以来、九代にわたってずっとお酒を造り続けてきた老舗中の老舗です。日本百名山のひとつ飯豊山の清冽な伏流水を仕込み水として使用し、『彌右衛門酒』をはじめいくつもの銘酒を造り出してきました。

本日最終日の渋谷ヒカリエ『モダニズムの構図/斎藤清版画展』では、『会津の冬』シリーズをはじめ、銘酒『彌右衛門酒』にもお目にかかることができます。一杯、いかがですか?

ちなみに、現在の九代目/佐藤彌右衛門さんは、会津の、福島の100%再生可能エネルギー生活を実現しようと、昨年夏、会津電力を立ち上げました。斎藤清のアーティスト・スピリッツにも似た、独創的な方です。

会津の冬(75)喜多方 1988年 木版画 斎藤清美術館所蔵
Winter in Aizu(75) Kitakata

2014年10 月12日(日曜日)

会津は、どっぷりと秋。会津身知らず柿(みしらず柿)の季節です。ことしも、会津盆地特有の気候や地形、太陽の恵みを浴びて至高の柿に実りました。このジューシーな食感は、他の品種ではちょっと味わえません。会津身知らず柿は、会津藩主のご縁で、皇室ご用達でもあるんです。

フォトは、『柿の会津』シリーズの12作目、1975年の作品です。身知らず柿の枝ぶりがくねくねと曲がって、面白い表情を見せています。枝に残った実の朱色は、静かに灯るイルミネーションのようで、周囲の壁の白と美しくも頑ななコントラストを演出しているようです。

渋谷ヒカリエ『モダニズムの構図/斎藤清版画展』では、『柿の会津』シリーズ17作目と並んで展示されています。ぜひご対面ください。明日13日(月)が最終日です。

柿の会津(12) 1975年 木版画 斎藤清美術館所蔵
Persimmon Tree in Aizu(12)

2014年10 月3日(金曜日)

フォトは、『かすみ 慈愛』、1991年制作、斎藤清晩年の意欲作です。鮮やかなピンク色のかすみ草の中にお地蔵様をデザインした作品、かすみ草の細かい花びらを彫る作業に苦心しながら完成させたとのことです。

野にたたずむお地蔵様、斎藤清はこうした野仏を描いた作品を数多く手掛けました。そして、そのタイトルが『慈愛』シリーズ。この『慈愛』という言葉、斎藤清は生涯、この言葉をとても大切にし、自らの展覧会場でサインを求められた時など、名前の傍らにこの言葉をよくそっと書き添えていました。

『慈愛』、大辞林によると、わが子を愛するようないつくしみの気持ち。かすみ草を英語でいうと、Baby’s breath(赤ちゃんの吐息、あるいは愛しい人の吐息)。ちなみに、この作品に彫られたピンク色のかすみ草の花言葉は、切なる願い、感激、など。かすみ草の中にお地蔵様を配するなんて、斎藤清の心の構図をかいま見たような気もするのですが、、、考え過ぎかも知れませんね。

来週火曜日、10月7日から開催の渋谷ヒカリエ『モダニズムの構図/斎藤清版画展』でお会いしましょう。

かすみ 慈愛 1991年 木版画 斎藤清美術館所蔵
Spring Mist, Tenderness

2014年9月27日(土曜日)

美術評論家の米倉守氏がおっしゃっていました、『斎藤さんの絵はけっして人を諭すことをしない、教化することもしない。斎藤さんの絵は諭すのではなく、誘惑するんです、誘いこんで行くんです』。

誘惑された一人として、ちょっと個人的に気付いたことを書いてみますね。フォトは、『憩い(B)』、昨日アップしました『憩い(A)』と同じ、1981年制作の木版画です。『憩い』の『A』と『B』、どちらに興味関心があるかは人ぞれぞれだと思うのですが、個人的には昨日の『憩い(A)』に驚きと共に誘惑されました。

その理由ですが、『憩い(A)』の背景の木目をご覧ください。版画家は版木の木目の活かし方にもきめ細かな配慮をし、その木目を効率良く表現するために摺り方にも工夫を重ねるとのことですが。。。『憩い(A)』の色鮮やかな木目、ノルウェー人画家ムンクの『叫び』に似ていませんか?『憩い(B)』の木目も、叫び疲れた『叫び』に似ていますが、『憩い(A)』の木目の『叫び』により強く誘いこまれてしまって。。。

斎藤清は言っていました、『ムンクなどの作品には、必ずしも思想的なものではないけど、夢を感じたり、同質感を感じたり、自然に引き寄せられて行った。北欧的な幻想や夢に、東北生まれの自分が同質的なものを感じ、云々』。

斎藤清が意図したかどうか、あるいは単なる偶然か、はたまた個人的に気付いたとは言え、もうすでにどなたかがこの木目の『叫び』について指摘しているかも知れませんが。。。

来月10月7日(火曜日)からの渋谷ヒカリエ『モダニズムの構図/斎藤清版画展』では、『憩い(A)』も『憩い(B)』も展示予定です。木目もお見逃しなく。

憩い(B) 1981年 木版画 斎藤清美術館所蔵
Resting(B)

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