フェイスブック・アーカイブ

斎藤清のふだん着のライフスタイル、斎藤清のクリエイティビティ、斎藤清美術館の企画展ニュース、ニュー美術館への実験的こころみ、斎藤清の町やないづ、アート・リラクゼーションの町やないづなど、こうした多彩な情報を斎藤清作品を通して発信して行こうと、斎藤清美術館公式フェイスブックはスタートしました。
第1回目は、2014年9月17日(水曜日)でした。

「フェイスブック・アーカイブ」では、スタート時から現在までの投稿テキストの中から、アクセス数の多かったコンテンツを中心にピックアップしてアーカイブとしました。
まとめて読んでみると、当時のことが手に取るように思い出され、ここから新たな夢、新たな企画が立ち上がってくるようです。
(一部、加筆修正しました)

2014年9月26日(金曜日)

斎藤清が版画家として、初めて世の脚光を浴びたのは、以前もご紹介しましたが、1948年の在日外国夫人会主催のサロン・ド・プランタン展に木版画『ミルク』を出品し、トップ賞を受賞した時でした。当時のアメリカの人々は異口同音に、「知名度や地位ではなく、Kiyoshiの作品が良いから購入するのだ」。

版画家/斎藤清への評価は、国内よりも海外の方が先行し、いわば評価の逆輸入と言うカタチで、日本国内へ広まって行きました。それにつれ、たえず新作が求められ、新作への期待も高まり、それはまるで人気作家、流行作家のよう、いまで言えばヒット・メーカーの様相。そんな中、1958年、肩に激痛が走り、五十肩の痛みはなかなか治らず、休業宣言でもしようかなと思った矢先、友人にアシスタントを紹介され、結局作家活動はそのまま継続。。。ある人は、『神は、天才を見捨てなかった』。また、ある人は、『市場は、天才に休業を与えなかった』。

フォトは、『憩い(A)』、英語表記ではResting(A)、生前の斎藤清とは対極にある時間の流れだったかも知れません。走るように、休むことなく次々新作を彫りつづけ、期待に応えて行ったのですから。来月10月7日(火曜日)スタートの、渋谷ヒカリエ『モダニズムの構図/斎藤清版画展』で展示予定です。

憩い(A) 1981年 木版画 斎藤清美術館所蔵
Resting(A)

2014年9月24日(水曜日)

『雨のミシガン』に次いで、きょうは『雨、パリ(B)』をご紹介。このふたつの『雨』の作品を並べると、版画家/斎藤清のアメリカとフランスに対する視点の違いが見て取れます。雨降るパリの街にたたずむ人影がリリックに描かれ、浮世絵の技法に西洋の近代造形を取り入れた斎藤清ワールドの傑作のひとつと称されています。

1951年、戦後日本人初の国際展受賞以来、版画家/斎藤清は個展や国画会展、国際美術展などを中心に新作を次々発表しました。
そんな中、1959年11月、著名なアメリカ人事業家C.V.スターの招待を受けて訪仏。パリに2ヶ月ほど滞在し、ほぼスケッチ三昧の日々をエンジョイしたとのことです。ここから誕生したのが『本屋、セーヌ、パリ』『ショップガール』『憩い、パリ』『冬のパリ(A)(B)』『パリ、朝市』『パリ、露店』『パリ、モンマルトル』『パリ、広告塔』、そして『雨、パリ(A)(B)』、などなど。

1962年、『雨、パリ(B)』は国画会第36会展(東京都美術館)に出品され、ここで初お目見えとなりました。
来月10月7日(火曜日)からスタートする渋谷ヒカリエ『モダニズムの構図/斎藤清版画展』でも展示予定です。

雨、パリ(B) 1962年 木版画 斎藤清美術館所蔵
Rain, Paris(B)

2014年9月23日(火曜日)

版画家/斎藤清への評価は、国内よりも海外の方が先行していました。現在でも、斎藤清作品のコレクターには、アメリカをはじめ、海外の方々も多いとのことです。その契機となったのが、次の出来事でした。

1948年、戦後まもない頃、斎藤清41歳の時、在日外国夫人会主催のサロン・ド・プランタン展(目白の旧徳川邸)に木版画『ミルク』を出品してトップ賞を受賞。この展示会は、後々、アメリカ各地をツアーすることになりました。また、1951年44歳の時、第1回サンパウロ・ビエンナーレ展(ブラジル・サンパウロ近代美術館)に木版画『凝視(花)』を出品し、在サンパウロ日本人賞を受賞。これは、戦後日本人による初めての国際展受賞となり、斎藤清の名とともに、日本の現代版画のポテンシャルを世界へ一斉に広めるグローバル・ニュースとなりました。

以来、1950年代から70年代にかけて、世界各地の国際版画展に招待出品を重ね、Kiyoshi Saitoの名はますます国際美術界において広く知られ、斎藤清愛好者のすそ野も大きくスケール・アップして行きました。

フォトは、木版画『雨のミシガン』。
1956年、アメリカ国務省やアジア文化財団の招きでアメリカ、メキシコを訪れたことで着想を得た作品です。この年の12月、第1回棟方志功・斎藤清近作発表展が京橋中央公論社画廊で開催され、ここで初お目見えとなりました。独創的な構図に加えて、視点元の部屋、その部屋の前に広がる公園など、ストーリー性に満ちた作品と称され、渋谷ヒカリエ『モダニズムの構図/斎藤清版画展』を象徴する作品のひとつとなっています。

雨のミシガン 1956年 木版画 斎藤清美術館所蔵
Rain(Ann abor) Michigan

2014年9月19日(土曜日)

浮世絵の技法に、西洋の近代造形を取り入れ、それまでになかった独創的な木版画技法を確立した世界的版画家/斎藤清。

かと言って、木版画だけではありません。斎藤清は、コラグラフ、ドライポイント、水彩画、水墨画などにも、数々の珠玉作品を残しています。こうした膨大で、ワイド・レンジの斎藤清ワールドを、どのように紹介すべきか?技法別か、モチーフ別か、会津や京都、鎌倉などの地域別か、フランスやアメリカ、メキシコ、インドなどの国別か、あるいは季節ごとに、年代順に、などなど。

しばらくは、渋谷ヒカリエで開催の『モダニズムの構図/斎藤清版画展』、ここでの展示作品にフォーカスしながら、その合間に秋の風情を織り交ぜながら、斎藤清ワールドを紹介できればと思っています。

フォトは、『花と少女』シリーズの16作目、最後の花と少女シリーズです。渋谷ヒカリエ『モダニズムの構図/斎藤清版画展』では、『花と少女(15)』『花と少女(16)』が展示予定です。来月10月7日(火曜日)から13日(月曜日/祝日)まで、午前10時から午後8時まで、観覧無料です。

花と少女(16) 1981年 木版画 斎藤清美術館所蔵
Flower and a Girl(16).

2014年9月17日(水曜日)

世界を感動させた版画家、斎藤清。彼の作品は、ゆうに1,000点を超え、フェイスブック最初のコンテンツはどの作品にフォーカスしようかと、ここしばらくずっと考えていました。例えば、ホームタウンの福島県会津を彫った作品、あるいは古都京都、世界遺産の富士山、またはフランスのパリ、南太平洋フランス領ポリネシアのタヒチ、はたまたミシガン、ニューヨーク関連の作品、などなど。いいえいいえ、場所ではなく、人間、ネコ、フードを彫った作品、とか。。。

そして、たどり着いた作品が『ニューメキシコ』、1965年制作、木版。なぜ、『ニューメキシコ』? 意表突き過ぎじゃないですか? 州都サンタフェに、ことしの夏の名残を重ねているのですか?

実は、ずっと頭の隅にあったみたいで。分厚い2.2センチ、重さ1.4キロの『斎藤清美術館所蔵作品集』、この本の表紙が作品『ニューメキシコ』。この作品を表紙に抜擢したプロセスを個人的に推測したり、推測して感動したり、イメージを膨らませたり、楽しんでいたんです。

ニューメキシコ 1965年 木版画 斎藤清美術館所蔵
New Mexico

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