過去の企画展
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夏季企画展「斎藤清 異形のイメージ」
2021年7月3日(土)ー9月5日(日) ※毎週月曜日休館。ただし、8月9日(月)は開館、翌10日(火)休館
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昨今、「怖い絵」がブームになっています。
つい最近も、日本近代の頽廃的でグロテスクな表現を紹介した展覧会に、
コロナ禍にも関わらず、多くの人が詰めかけ、大好評だったそうです。
「怖い絵」シリーズで知られる西洋文化史家の中野京子氏は言います―
「生ぬるい日常を揺さぶり、鈍麻した意識を覚醒させ、
それまで気づかなかった新たな美、新たな視点を知らしめることも芸術表現の一つだ。
そのため創り手は固有の鋭い感覚で、奇異、異様、異類、異体、そして怪の中に人間の本質を見出し、
且つ、それを巧みに描写して受け手に突きつけようとする」
(中野京子『異形のものたち 絵画の中の「怪」を読む』NHK出版 2021年)
実は斎藤清にも、ミステリアスな、ややもすると、こわいような作品が存在します。
意外でしょうか?
「モダンリアリスト」とも称された斎藤清。
常に現実にある風景やものを題材として、唯一無二のイメージを創り上げた画家。
一方で、若き日には、ムンクやルドン、ゴーギャンといった芸術家たちに魅かれ、
創作上のスランプに陥った60年代には、内向的・哲学的なテーマに取り組むことも。
何より、モティーフの本質を鋭く見抜く、たぐいまれなるまなざし。
そんな斎藤が描いたものの中に、時に底知れぬ深淵が潜むのは、むしろ当然なのではないでしょうか-
その深みにふれてもらうため、
本展は、「異形」をキーワードに、
少し変わった展示方法で作品を紹介します。
まずはイメージと向き合ってみてください。
かたち、色、光、影。
見慣れた作品のはずなのに、そこにただならぬ「何か」を感じたとき。
その作品は、まったく異なる姿で、あなたの前にたち現れるのです。
※新型コロナウィルス感染症拡散防止のため、開催期間や各種イベントが変更・中止になる場合がございます。
その際は、当館HP等でお知らせいたします。
ご理解・ご協力のほどお願い申し上げます。
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春季特別企画展「斎藤清とハニワ!」
2021年4月24日(土)ー6月6日(日)
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「鶯谷で電車を降り、国立博物館の裏から入って知っている人の所に行き、埴輪を見せてもらった。
そのころは、国宝級の「踊る埴輪」を手にとって見せてもらえた時代だった」(斎藤清『私の半生』より)
斎藤清が「ハニワ」と出会ったのは、
戦後間もない頃、帝室博物館から新生なったばかりの、東京国立博物館でのこと。
1947年に創刊した『国立博物館ニュース』に、題字やカットを提供することになり、
その縁で、同館が所蔵する考古物品の数々を間近に見るという貴重な機会を得たことから、
両者の関係は始まりました。
ちょうどこの頃、欧米では抽象表現が席巻し、その潮流が日本の美術界にも押し寄せていました。
そのただ中にあって、「雪では古くて、これではだめだ」と、進むべき方向を模索していた斎藤清。
簡潔かつユニークなフォルムの中に深い精神性を宿す埴輪の造形は、
斎藤の創作意欲を大いに刺激し、
1950~60年代の主要なテーマとなったばかりでなく、
その後もイメージソースの一つとして、画家の中に深く長く根を下ろしていくのです。
本展は、そんな斎藤清の埴輪・土偶の作品に焦点をあてた展覧会です。
斎藤清は、フォルムを単純化したり、デフォルメしても、モティーフの特徴を正確に捉え描出します。
そのため、作品のモデルが何か特定することができます。
顏や首まわり、手首に今も鮮やかに朱が残る、茨城県水戸市出土の「埴輪 両手を挙げる女子」、
青森県から出土した、肩から胴部、大腿部に施された文様が印象的な、重要美術品指定「遮光器土偶」。
作品に登場する考古物品のほとんどは、東京国立博物館に所蔵されているものです。
そして2021年。
古代日本の造形と斎藤清の作品が一堂に集います。
斎藤は、埴輪に何を見たのか。
両者が邂逅する展示室で、
「手に取って見せてもらえた」という画家の強烈な体験と感動を、
追体験していただけたら幸いです。
本展は、独立行政法人国立文化財機構文化財活用センターによる「国立博物館収蔵品貸与促進事業」により開催するものです。
《遮光器土偶》 縄文時代晩期(秋田県美郷町六郷石名館出土) 東京国立博物館蔵 (Image:TNM Image Archives)
斎藤清 《土偶(B)》1958年 紙、木版 斎藤清美術館蔵
《埴輪 右手に棒を握る女子》 古墳時代(栃木県真岡市亀山出土) 東京国立博物館蔵(Image:TNM Image Archives)
斎藤清 《ハニワ(F)》1968年 紙、コラグラフ 斎藤清美術館蔵
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「斎藤清が見た日本 求め続けた会津 KIYOSHI’S RETURN HOME」
2020年9月19日(土)ー2020年11月29日(日)
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「父が北海道のあっちこっちに本籍を移し、
どこが自分のふるさとかと思うことがあった。
東京に出ても、鎌倉に移っても、どこかエトランゼとしての感覚が、
心の底にオリのように残っていた。
「一体、自分はどこの県の人間なんだ」と自問することがあった」
(『私の半生』より)
生涯の大部分を東京や鎌倉など異郷の地で暮らし、
欧米やアジア諸国も訪れている斎藤清。
日本や世界の各地を描いた作品群からは、
彼のフットワークの軽さ、グローバルな視線が伝わってきます。
一方、多くの名作の舞台となった会津に対して、
斎藤は、生まれ故郷でありながら、
「懐かしい」という言葉では言いつくせない、
複雑な感情を抱き続けていました。
「自分はエトランゼ(異邦人)」という想いを胸に会津に通い、
画家が見つめ描こうとしたもの。
それは、風景の美だったのか、それとも―
異郷にあった会津人・斎藤清にとっての、故郷・会津。
その意味を改めて問い直したとき、
斎藤清の描く会津、その真の姿が見えてきます。
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「木目・百変化!」※5月23日(土)より開催!
2020年5月23日(土)ー2020年9月13日(日)
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※新型コロナウィルス感染症拡散防止のため、
当初4月25日(土)から開催のところ、
5月23日(土)~9月13日(日)の会期となりました。
創意工夫に満ち溢れる作品で、
現代版画史にひときわユニークな軌跡を残す画家、斎藤清。
シンプルなかたちと構図を追求する一方、
版材のマチエールがもたらす豊かな表情に着目し、
唯一無二の斬新なイメージを生み出し続けました。
中でも特徴的なのが木目による表現。
木肌の美しいタモやセンを用い、
動物の毛並みや水流、
さらには描かれた人物の内なる感情まで自在に描き出します。
卓越したセンスと技術によって、
画家が木目に込めた、美しきたくらみ。
ぜひあなたの眼で見極めて。
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「LIFE(ライフ) Saito Kiyoshi 1907→1997 Season2」
2019年12月7日(土)ー2020年4月19日(日)