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春季特別企画展「斎藤清とハニワ!」

2021年4月24日(土)ー6月6日(日)

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「鶯谷で電車を降り、国立博物館の裏から入って知っている人の所に行き、埴輪を見せてもらった。
そのころは、国宝級の「踊る埴輪」を手にとって見せてもらえた時代だった」(斎藤清『私の半生』より)

斎藤清が「ハニワ」と出会ったのは、
戦後間もない頃、帝室博物館から新生なったばかりの、東京国立博物館でのこと。
1947年に創刊した『国立博物館ニュース』に、題字やカットを提供することになり、
その縁で、同館が所蔵する考古物品の数々を間近に見るという貴重な機会を得たことから、
両者の関係は始まりました。

ちょうどこの頃、欧米では抽象表現が席巻し、その潮流が日本の美術界にも押し寄せていました。
そのただ中にあって、「雪では古くて、これではだめだ」と、進むべき方向を模索していた斎藤清。
簡潔かつユニークなフォルムの中に深い精神性を宿す埴輪の造形は、
斎藤の創作意欲を大いに刺激し、
1950~60年代の主要なテーマとなったばかりでなく、
その後もイメージソースの一つとして、画家の中に深く長く根を下ろしていくのです。

本展は、そんな斎藤清の埴輪・土偶の作品に焦点をあてた展覧会です。
斎藤清は、フォルムを単純化したり、デフォルメしても、モティーフの特徴を正確に捉え描出します。
そのため、作品のモデルが何か特定することができます。
顏や首まわり、手首に今も鮮やかに朱が残る、茨城県水戸市出土の「埴輪 両手を挙げる女子」、
青森県から出土した、肩から胴部、大腿部に施された文様が印象的な、重要美術品指定「遮光器土偶」。
作品に登場する考古物品のほとんどは、東京国立博物館に所蔵されているものです。

そして2021年。
古代日本の造形と斎藤清の作品が一堂に集います。
斎藤は、埴輪に何を見たのか。
両者が邂逅する展示室で、
「手に取って見せてもらえた」という画家の強烈な体験と感動を、
追体験していただけたら幸いです。

本展は、独立行政法人国立文化財機構文化財活用センターによる「国立博物館収蔵品貸与促進事業」により開催するものです。


《遮光器土偶》 縄文時代晩期(秋田県美郷町六郷石名館出土) 東京国立博物館蔵 (Image:TNM Image Archives)


斎藤清 《土偶(B)》1958年 紙、木版 斎藤清美術館蔵


《埴輪 右手に棒を握る女子》 古墳時代(栃木県真岡市亀山出土) 東京国立博物館蔵(Image:TNM Image Archives)

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斎藤清 《ハニワ(F)》1968年 紙、コラグラフ 斎藤清美術館蔵

※新型コロナウィルス感染症拡散防止のため、開催期間や各種イベントが変更・中止になる場合がございます。
 その際は、当館HP等でお知らせいたします。
 ご理解・ご協力のほどお願い申し上げます。

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